航海40日目
大西洋の島ポンテデルガーダ(ポルトガル領)へ向かって航行中。外洋は揺れが強くなって船酔いしている人も多いようだ。新聞チームのお手伝い、日程表の入力をした。
モロッコのタンジェに停泊中迷い込んだのか、小鳥が1羽、船の甲板を飛びまわっている。ここまで来ると、もう陸地に帰れないだろう。渡り鳥や大きな翼をもったカモメなどとは違うから…。こんな鳥が島々に植物の種を運んで行くのか?昔からの営みなのかもしれない。
さらに島で異種交配などがあれば、新種の鳥にもなるのかな?小さな渡航者だ。
夜は映画を鑑賞。「スリー・ビルボード」ベネチア国際映画祭で脚本賞を取っただけあって、見ごたえがあった。クライムサスペンスだが、昔のフランス映画のような余韻を持たせた終わり方もいい。昔、仕事仲間10人くらいで映画同好会を作っていたのを思い出す。
個人では好きな映画しか見ないだろうから、順番で見たい映画を選ぶ方式だった。まったく興味のない映画も多数見た。見終わってからの感想を言い合うのが楽しみだった。
そう言えば学生時代に女性の感性が、男のものと全く違うということを知ったのも映画だった。たとえば「シェーン」、カムバーックシェーン!とい子供が叫んでも馬にまたがり去っていくシーン。名場面だ。リバイバルを見た帰りに学生同士で感想を話し合った。初めて見る人もいたが、名画だけにそれぞれが感動を口にした。
その中で、女性がラストについて「シェーン死んでいたんじゃない?」と言い始めた。男どもは銃を撃って、かっこよく去っていく後姿がいい…なんて言っていた。死んでいる?なんで?と聞くと、だって墓場の中を進んで行くでしょ!と。なるほど、そこまでは考えなかった。
「ローマの休日」もそうだった。ペックとヘプバーンの淡い恋心に、ホンワリしている男どもに向かって、あの一夜に何事もなかったの?信じられなーい!と言う始末だった。ムムム…と男どもは口をつぐんだものだった。
良い映画を観たときは、やはり感想を話し合いたいものだ。違った見方がわかると、作品の良さがさらに深く分かる。
写真は窓越しに撮った名も知らない小鳥。